2018.11.23
ADEPとiDEP 〜 Apple Developer Program の歴史 〜
今でも時々、iDEP(iOS Developer Enterprise Program)と言う方がおられるのですが、正しくはADEP(Apple Developer Enterprise Program)です。
「企業内で使用する独自のiOSアプリを開発・配布したい時に必要なもの」
という意味では同じです。が、意味が通じるならどちらでも良いや…ではなく、iDEPがADEPに変わった経緯はおさえておきたいところです。
本エントリでは Developer Program の歴史を振り返ってみたいと思います。
Developer Program の歴史
2008年、iPhoneが日本に上陸した当初に用意されていた Developer Program は以下の3種類でした。
Developer Program の種類 | 対象 |
---|---|
iOS Developer Program | AppStore向けのアプリ開発に |
iOS Developer Enterprise Program (iDEP) | in-houseアプリの開発に |
iOS Developer University Program | 大学での教育用途に |
余談ですが、Appleが最初から企業向けを意識していたことは注目に値します。
iOSの企業活用が加速し、あわせてiDEPを契約する企業が増え始めたのは2010年頃でした。
ほぼ同じ頃、2011年1月の Mac App Store のオープンへの備えや、ブラウザのSafariが拡張機能の仕組みを搭載することを受けてプラットフォームごとに新たな契約が登場し、Developer Program は複雑になっていきます。
Developer Program の種類 | 対象 | |
---|---|---|
iOS Developer Program | iOS向けアプリの開発と配布 | |
iOS Developer Program | AppStore向けiOSアプリ | |
iOS Developer Enterprise Program (iDEP) | 社内向けiOSアプリ | |
iOS Developer University Program | 教育用途iOSアプリ | |
Mac Developer Program | Mac向けアプリの開発と配布 | |
Safari Developer Program | Safari拡張の開発と配布 |
iOSとMacとSafariで3種類、更にiOSの中で3種類。Appleとの開発契約の種類が、プラットフォームと用途により5種類となったのです。
そして2015年。
AppleWatchの watchOS 向けにもアプリ開発が可能になったほか、AppleTV の tvOS 向けにもアプリを開発・配布できるようにもなります。もちろん Apple は、Apple Watch も AppleTV でも法人向けアプリ需要を意識していました。(プロファイルやMDMといったエンタープライズ関連機能に、Apple Watch や Apple TV の設定項目が当初からあった)
では、一体何種類の契約になるのか…
Developer Program の統合
そこでAppleは、Developer Program を統合させる道を選びました。
厳密には watchOS や tvOS のアプリ提供が可能になる発表はこのメールより時間的に後ですが、予め手をうっていたという事だったのでしょう。将来プラットフォームが増える度に契約の種類が増えるのは現実的ではありませんから。
実際、developer向けの画面では各プラットフォームやデバイスが一覧されるようになりました。
プラットフォームごとに契約を選んだり別途締結する必要はなくなり、AppStore向けなのかIn-House向けなのか、はたまた学校で教育用に使うのかという「用途のみ」で Developer Program を選べば良いことになりました。
Developer Program の種類 | 対象 |
---|---|
Apple Developer Program | AppStore向けアプリ向け |
Apple Developer Enterprise Program | In-Houseアプリ向け |
iOS Developer University Program | 教育用途 |
非常に簡素な契約体系です。統合前、iOS向けとMac向けとでプラットフォームごとに年間契約費用が必要でしたので、統合には契約料削減に繋がるメリットもありました。
以上のような歴史で、iDEPは2015年からADEPと呼ばれるようになったのです。
iDEPという用語は余り使わない方が良いかも知れない
今はまだほぼほぼ意味が通じるので、正直iDEPでもADEPでも呼び方はどちらでも良いかも知れません。
ただApple的にはiDEPという用語はもう存在しないことになっています。
それを考えれば、お客様のInHouseアプリの開発に関わる開発会社様やコンサルティング会社様におかれては、現状に則した言い方をしたほうが better ではあるでしょう。いずれiDEPという言葉は通じなくなると思われますから。