2019.12.6

ADEPの契約ができないパターン集

(最終更新日 : 2020/9/10)

ADEPによるInHouse配布は、審査が不要端末数は無制限配布手段も自由に選べます。

有事の際の緊急対応や端末管理の容易性などを考慮すると、ADEPで作れるInHouseアプリはやはり魅力的です。しかし、InHouse配布アプリにはただ一つ制限があるのでした。(参考 : ADEP (Apple Developer Enterprise Program) とは何か)

ADEP契約主体の組織外の人が使う端末にInHouseアプリをインストールさせてはいけない

この制限は絶対に守らなければならず例外はありません。言うまでもなくADEPオフィシャルページの「対象」欄の条件クリアは必須ですが、これに加えて、上記制限に抵触しないことがとても重要なのです。


(最後の項目に「検証インタビュー」と明記されている)

昨今ADEPの審査はとても厳しくなっています。Appleにアプリや事業モデルの詳細を説明しなければなりません。もし上記制限を外れるアプリであることが分かると確実に審査落ちしますので、あらかじめ審査落ちするパターンを把握しておくのは良いことです。

以下に典型的なADEP申請落ちする却下パターンをご紹介します。もし該当する場合、アプリの作り方や事業モデルを変更することをお勧めします。

 

販売代理店に使って貰うアプリの配信

例えば、保険業界や自動車業界など販売店網を構築している商品の業務アプリが該当します。商品開発元がADEP契約して、商品解説アプリを作り、それを販売店にInHouse配布して使ってもらう…のはNGパターンです。

販売代理店は、「組織外」だからですね。このパターンは結構多いです。

商業施設や商業イベントの出店者に使ってもらうアプリの配信

施設側や主催側が出店者に使ってもらうアプリ(例えば出店者向けの情報を発信するようなアプリ)を作り、販売店の保有端末にインストールしてもらうためにInHouse配布する…のもNGパターンです。

出店側は多くの場合「組織外」だからですね。どうしてもInHouse配布したいなら、店舗側の全法人にADEP契約をして貰う必要があります。

一般消費者向けのアプリ配信

一般消費者にAppStoreを迂回してインストールして貰うようなInHouse配布もNGパターンの典型です。

提供側から見るとサービス利用側は「組織外」だからですね。一般消費者に使って貰うアプリは必ずAppStoreを通して公開する必要があります。

グループ内会社が他のグループ会社にアプリを配信

情報システム子会社が親会社の従業員iOS端末向けにアプリをInHouse配布する…のもNGパターンです。

同じグループとはいえ別法人であり「組織外」だからです。もし親会社の従業員が使うアプリを作るのなら、ADEPは親会社が取得すべきです。(ただ黎明期にiDEPを取得して本パターンで実運用されているケースもある)

 

以上4つのADEP審査落ちパターンを紹介しました。万が一検討中のアプリがいずれかに該当する場合は、ADEPの契約やInHouse配布はまず無理と考えたほうが良いでしょう。

もし曖昧な説明をしたり、真実を隠して運良くADEP契約が仮にできたとしても、ADEPの契約はAppleの意向で一方的にBAN(契約破棄)できることを忘れてはなりません。BANされると業務で日常的に使っているInHouseアプリがある日突然起動しなくなります。そんな恐怖は誰も味わいたくないでしょう。Appleにバレたら最後ですし、過去にはInHouse配布の不正利用が告発され削除となった例もあります。

ADEPやInHouseが思い浮かんだらまず、配布するアプリをインストールする端末は誰の端末かを確認することをお勧めします。実は本稿で紹介したパターンは、ADEP契約をしなくても工夫すればほぼ要件を満たせるものばかりです。導入や運用の仕方に少し手を加えられないか是非考えてみて下さい。

なお2020年現在、AppleはADEPを極力契約させないように方針を転換しています。詳しくはADEPはもう取得することができないと諦めたほうが良い理由の投稿をご覧下さい。

 

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