2021.8.30

エンタープライズiOS関連のサービスがおかしいと思った時に確認する2つのサイト

エンタープライズiOSは、Appleが構築・運用しているWebシステムの安定稼働を前提としています。


(エンタープライズiOSを取り巻く専門用語にはサービスを意味するキーワードも多い)

例えば、ABM や VPP(アプリ一括購入) などは Apple がエンタープライズ向けに提供する立派なWebシステムですし、ADEP の InHouse アプリはあるサービスが落ちていたら起動すらできないこともあったりと目に見えないところで Apple のWebシステムに依存していることもあったりします。

Appleの各種Webサービスが安定してこそのエンタープライズiOSですから、それらが「今」正常に稼働しているのかどうかを確認する方法を知っておくことが大切です。本稿では、エンタープライズiOS関係者が知っておくべき2つのサイトを紹介します。

 

Apple System Status

Apple System Status サイトは、Appleが提供する各種Webシステム(クラウドサービス)のステータスを一覧で俯瞰できるようになっているサイトです。



(日本国内で提供されているAppleの全サービスの稼働状況を俯瞰することができる)

実に様々なサービスをAppleが運用していることが分かります。総勢57システム。iCloud系は名称からしてすぐクラウドが関係していると想像がつくにしても、「え?このアプリも専用のWebシステムがあるの?」と驚くものも幾つかありますね。

さて、57個のうちエンタープライズiOSに関係があって重要度が高そうなものはどれでしょうか。参考までにですが、筆者が日頃から気にしているものに赤枠をつけてみました。


(大事なものが一つ欠けていることに気づくでしょうか。詳しくは後述)

  • AppStore
  • Apple ID
  • Device Enrollment Program
  • iOSデバイスアクティベーション
  • Volume Purchase Program

サイトの見方は簡単で、緑色が正常稼働中であることを意味します。上図では全て緑色(Available)ですので、つまり何もトラブルが起こってないということです。万が一障害が発生した場合には、問題のあるシステムのマークが黄色や赤色に変わります。例えば、直近の2020年9月に大規模な障害が発生した時は以下のような状態になりました。


(Appleのネットサービスで大規模な接続障害が発生【復旧済み】より引用 @ITmedia NEWS 2020/9/30)

赤色(Outage)はサービスが完全に落ちて停止している状態。赤色のサービスは「今」使えない状態であることを意味します。また黄色(Issue)は「今」部分復旧を含む復旧過程である状態を表します。クリックすると問題の所在や、Appleがどのように対応したか詳細情報を見ることができます。

もし、「ABMにサインインできないぞ…」とか「カスタムAppを一括購入できないぞ…」と不審に感じた時は、この Apple System Status の画面を見てみると良いでしょう。Appleによる公式情報ですので、もし赤色や黄色になっていれば、お客様に状況を説明する一次情報としても使うことができます。

ただ、上の画像で気付いた方もいるかも知れませんが、日本語と英語とで表示される項目が異なっていることに留意して下さい。各国で提供されているサービスが異なるので当然といえば当然なのですが。(興味ある方は URL の jp の部分を ukcnkr に変えると各国での状況が見えますのでお試し下さい)

が、エンタープライズiOS関係者として気になるのは、日本向けの Apple System Status サイトに Apple Business Manager が含まれていないこと。Apple Business Manager は米国本家の System Status サイトにしか表示がありませんので、米国の Apple System Status の画面も同時に確認することをお勧めします。


(日本向けと違って Apple Business Manager がきちんと存在するのが分かる)

Apple Business Manager は申請時に国を指定したり、アプリ一括購入の関係で国に関連付いて既に提供されているものですので、ここは一点不思議な点ではあります。DEPやVPPを各国で表示するならそれを内包するABMも各国表示して貰いたいところです。

さて、少し横道にそれましたが、もう一つ見るべきサイトがありますのでご紹介します。

 

Apple Developer System Status

名称は筆者が勝手につけて呼んでいるものですが、Apple Developer System Status は開発者向けに用意されたAppleの各種Webシステム(クラウドサービス)のステータスを俯瞰するサイトです。

システムは全部で38個。多くの項目でリンク先がそれぞれ対応する公式ページになっているのは親切な作りですね。この一覧の中で筆者が日頃 watch しているものは以下の通りです。


(先ほどと同じ System Status という名称だが内容は開発者向けシステムの状態一覧)

  • APNS
  • Certificates, Ideitifiers & Profiles
  • Enterprise App Verification
  • Program Enrollment and Renewals

MDMはPUSH通知が必須の仕組みですので、MDMの調子が悪いと思ったときにはAPNSのステータスを確認しますし、InHouse アプリの起動に影響を与えかねない Enterprise App Verification の状態にも注意を払っています。

見るべきものは企業やアプリ毎によって異なるでしょうが、前述の Apple System Status サイトに加えてこちらも併せて確認しておくのが良いでしょう。

 

ということで、エンタープライズiOS関係者が見ておくべき Apple の System Status サイトを2つご紹介しました。お手元のブラウザにブックマーク登録して、何かおかしいと思った時にすぐに開けるようにしておくことをお勧めします。

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