2022.3.21

ADEP契約を更新せず放置するとInHouseアプリはどうなるのか

無制限に審査なくアプリを配布できるのがInHouseアプリ。これにはADEP(Apple Developer Enterprise Program)の契約が必要ですが、今はもうほぼほぼ契約できなくなってることは以前の投稿で書いた通りです。

一方でADEPを契約できている企業は、約4万円でADEP契約を年間更新すればInHouse配布のメリットを享受し続けることができます。

ですが、以下のような場合に InHouse アプリがどうなるかご存知でしょうか?

  • ADEPの更新を忘れていた
  • ADEPの更新をAppleから拒否された

現在 InHouse で業務用アプリを配布している企業、また毎年InHouseアプリをビルドして配布している企業は、知っておく必要のある仕様です。本稿では、上記の場合にInHouseアプリがどう振る舞うのかについて解説します。

 

即座に動かなくなる訳ではないが…

通常、ADEP契約期限が切れる30日前に Apple から以下のようなメールが届きます。

同じメールが15日前・5日前にも届きます。いずれのメールにも

Renew your membership to keep your existing apps functioning…

と、既存の配布済みアプリを使い続けたいなら更新するようにという記載があります。最初のメールから1ヶ月の猶予、直前まで合計3回も届きますので、更新せず契約期限を過ぎてしまうことは極めて稀です。

あるとすれば、担当者がすっかり忘れていたとか、社内間や業者間の連携ミスで遅れるとか、法人カード期限切れで再発行に時間がかかるとか…等の理由でしょう。

万が一、更新ができなかったらどうなるのでしょうか?

心配はいりません。ADEP契約期限日が到来してしまっても、即座にInHouseアプリが起動できなくなるわけではないからです。猶予期間があって90日間です。

ADEP契約期限が切れても、90日間はInHouseアプリを使い続けられます。言い換えると、ADEP契約期限を過ぎて91日目以降はInHouseアプリが一斉に起動しなくなるということを意味します。

ここは誤解し易いポイントですが、ADEP契約を更新しない場合、Provisioning Profile の期限より90日制限のほうが優先される点に注意しましょう。

例えば、ADEP契約が2022年6月30日に切れてしまうとします。その1ヶ月前の2022年5月31日にProvisioning Profileを生成すると、期限は1年後の2023年5月31日である筈です。

しかしADEP契約を更新しない場合、期限は Provisioning Profile による2023年5月31日ではなく、ADEP契約終了日から90日後の2022年9月28日が期限になるということです。

Provisioning Profile の有効期限まで起動できるわけではありません。Appleの 公式ドキュメントでもADEPの期限切れについて以下のように書いています。

Your software will continue to run for 90 days after expiration.


(ADEP→ADP移行を解説する公式資料に90daysと明記されている)

 

以上、ADEP契約を更新せずに契約終了日を迎えた時のInHouseアプリの挙動を紹介しました。端的にまとめると、

InHouseアプリは即座に起動しなくなるのではなくADEP契約終了日以降90日間は起動し続けられる

ということです。万が一ADEP更新できずに契約終了日を過ぎてしまった場合は、必ず90日以内に手を打つようにしましょう。

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