2022.9.19

そろそろADEP契約更新ができなくなるかも知れない…その後(1)

2022年4月に以下のような投稿をしました。

そろそろADEP契約更新ができなくなるかも知れない

投稿以後、ADEP契約更新が例年のように進められないという声が幾つも届いています。数ヶ月が経過してみて、契約更新可否について興味深い傾向が見えてきたほか、拒否された後のInHouseアプリの振る舞いについて新たな情報を得ましたので、2回に分けてシェアしたいと思います。

 

ADEPの契約は意外に更新できている

2022年4月の時点で、一律全ADEP契約が拒否されているのではないうえに基準が不明瞭…というなんとも気持ち悪い状況でした。

しかしAppleの InHouse アプリに対する態度硬化が加速してる流れから、拒否が基本で、更新可能なのは例外的ケースだろうと見ていました。それで以前の投稿では、90日前のメールをトリガに動き出したほうが良いかも知れないと見解を記していた次第です。


(90日前から動き出せば対応期間を長く確保できる)

それから数ヶ月。

実際に見えてきたのは、ADEPは意外に更新できているという状況です。ADEPの公式ページに記載されている条件を満たしていれば、おおよそADEPの更新に成功しているように見えます。


(従業員が100人に満たない要件未達な組織や、従業員以外が使うアプリに使っている不正利用はやはり拒否される)

ただ、条件さえ満たせばすんなり更新できるかというとそうでもなく、以下のようなステップを踏むことが多いようです。

  1. ADEP契約終了90日前に更新とカスタムApp移行の案内メールが届く
  2. 更新申請に際し数十項目のフォーム入力を求められる (何に使っているか等)
  3. 審査にかけられ暫く放置される
  4. ADEP契約終了日直前になってもAppleから連絡が来ない
  5. 突然ADEP契約終了日が延期されて審査中状態が続く
  6. 審査を通過しクレジットカード決済を経て更新完了する

このようにADEP更新には心穏やかでない状態が待ち受けてます。しかもやっかいなのは、全ての企業がこの通りに進むわけではなく、企業によって若干異なっていること。

3,4 がなく審査を通過して6に行くパターンもあれば、3(審査待ち)に2週間や1ヶ月の期間を要したりと所要期間はバラバラ。一方拒否される場合は余り待つことがなく1週間程度で返ってくる傾向にあるようです。また、更新成功の変則的ケースとして 4→5→4→5 と回答待ち&強制延期が2周するパターンも見受けられました。

要するにやってみないと分からないということですね。困ったものです。

 

これからどうすべきか

上記状況をふまえた弊社見解は、

  • 明らかなADEP契約違反や条件未達でなければ過度に神経質になる必要はないかも
  • が、いずれ拒否されることを見据えてアプリの今後を考えておいたほうが安心かも

です。

やはり InHouse アプリからの脱却は推奨と考えます。Appleが毎年少しずつ更新条件を厳しくしていくかも知れませんし、「1年の猶予は与えたよね?なぜ何もしなかったの?」と2023年に更新拒絶を強行する可能性もゼロではないでしょう。無論、今まで通り毎年更新し続けられる可能性も全否定はできません。

よくよく考えておきたいのは、Appleの気持ち次第というモヤモヤした状況を続けるのは、業務用ソフトウェアのあるべき姿なのかということです。毎年毎年ドキドキするぐらいであれば、早めに手を打つほうが健全でしょう。


(ADEPの公式ページの選択範囲の文言に注意。十分に対応できるという判断はApple次第)

エンドユーザ企業においては、社内に開発部隊がいて内製しているなら、カスタムAppに移行しましょう。端末台数が少ないならAdHocです。もしWebアプリにガワをかぶせたに過ぎないならこの際アプリをやめ、WebClipのMDM配信に切り替える事も視野に入れましょう。以下を参考にして下さい。

テスト用途で配布が便利だからという理由だけでInHouseを使っているなら、面倒臭がらずにTestFlightを学習して移行しましょう。TestFlightに慣れると、InHouseビルドをテスト用配布することが逆に面倒になるぐらい便利です。


(TestFlightはもう10年の歴史がある洗練されたテストツール。使わない手はない)

また、受託開発会社においては、いつまでもカスタムAppの経験がない状態が続けば、いずれ業務用iOSアプリの受託が厳しくなる未来を迎えることになる可能性も考慮に入れて下さい。

新規はもちろん、ADEPからの移行組エンドユーザ企業の多くが目にすることになるABMユーザガイドには、カスタムAppなるものの手はずをデベロッパーがしてくれると明記されています。

エンドユーザ企業にして見れば、Appleが「デベロッパがやります」と書いているカスタムAppについて全く何も知らない開発会社に発注したいと思うでしょうか。業務用iOSアプリの受託開発事業を行う企業は、ADP/ABM/MDMを自社で一通り揃え、カスタムAppについて学習しておくことが推奨されます。本サイトのカスタムAppに関する全投稿を参考にして下さい。

 

本稿ではADEPの更新可否が今どうなっているかについて書きました。次回投稿では、実際にADEPの契約を拒否されたケースで見られた興味深い現象について記そうと思います。

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