2023.5.1
MDMの操作を自動化する方法
以前の投稿MDMとは何かで解説している通り、MDMは通常クラウド型のサービスとして提供されていますので、ブラウザを使って人が操作するのが基本です。
しかし、ポチポチとクリックしたり入力することが非効率で面倒な場合があります。端末の初期登録や、プロファイルの適用、アプリのインストール等々、毎回同じことを繰り返していることはないでしょうか。
そういった定形処理を自動化すると、省力化やヒューマンエラー回避というメリットを享受できます。ということで本稿では、MDM操作の自動化に際して検討できる選択肢について紹介します。
MDMサービス側が提供するAPIを使う
MDMに限った話ではありませんが、何らかのシステム操作を自動化する際に最初に検討すべきはAPIです。
APIとは、ブラウザを開いて人間が操作をしなくても、システムを操作したのと同じことをプログラムで実現するためのものです。プログラムの開発が必要ですが、一度開発すれば、10ステップの操作が1クリックで済むようになったり、毎回10分かかっていた作業が2分で済むようになったりします。
APIは省力化に欠かせません。
昨今のSaaS型のシステムはAPIを搭載していることが多く、MDMも例外ではありません。多くのMDMサービスがAPIを標準で提供しています。以下に代表的な例をAPI資料のURLと一緒に示します。
MDM | API資料 |
---|---|
Intune | Microsoft Graph での Intune の操作 |
jamf | Jamf Developers |
simpleMDM | SimpleMDM API Reference |
Cisco Meraki | Cisco Meraki Dashboard API |
VMware AirWatch | VMware AirWatch REST API Guide |
これらのMDMを使用しているなら、リンク先のAPI資料を見ながら自動化プログラムを開発し、日々のオペレーションを省力化することができます。自社に内製部隊を持たないのであれば、外注先の開発会社にAPI資料を示して相談すると良いでしょう。
上記以外の場合は、MDMベンダーに直接問い合わせてみることをお勧めします。有償か無償かはMDMサービスによりますが、APIを申請ベースで提供している場合もあります。(弊社がよく使う BizMobile Go! はこのタイプです)
APIが提供されていないMDMサービスの操作を無理やり自動化する
MDMによっては、そもそもAPIが存在しない場合があります。また、存在していても条件が満たせず提供して貰えないとか、APIではカバーできない操作を自動化したい場合もあります。
そのような時に使えるのが、ブラウザ自動操作の仕組みです。APIと違い、ブラウザを(プログラムで)自動で立ち上げて、(プログラムで)クリックや入力を行わせることで、本来人がやるブラウザ操作そのものをプログラムにやらせる方法です。
数年前に流行ったRPAはこれに類するものです。既に社内で何かRPAツールを導入しているのであれば、ブラウザ操作の自動化は容易い筈ですので、そのRPAツールをそのまま使用しましょう。
RPAツール未導入なら以下のようなツールを使って、自前で開発することができます。
いずれもブラウザの自動化を様々なプログラム言語で実装できるツールです。歴史のある順に並べていますが、これから開発するなら Microsoft が開発している Playwright がオススメです。
前述のAPIと同様に、社内に開発部門がなければ、外注先にMDM操作を自動化したい旨を伝えると良いでしょう。ちなみに弊社では、MDMのAPIでカバーできない処理を、Playwright を使って自動化して省力化しています。
本稿ではMDM操作の自動化について紹介しました。
APIにしても、ブラウザ操作の自動化にしても、プログラムで制御できるということは、MDM操作に付随する周辺業務も併せて自動化できる可能性があるということです。(書類の作成やメール送信等)
生産性の高い企業は、適切で効果的な省力化をして、人が本来やるべきことに注力できるようにしています。日々のMDM操作も省力化できるポイントが多くあるものですので、本稿を参考に是非、自動化を検討してみて下さい。